先ずは、この9ヶ月間、集中して稽古に参加する事ができた事、そしてそれに協力してくれた全ての人々に心から感謝申し上げます。ありがとうございました。
お陰さまを持ちまして、私、三枝丈太郎は無事に合気道養神館の黒帯を取得する事ができました。また、何よりも無限塾の研修生で獲得した黒帯ですので、意味深さも格別であります。
さて、そんな心境の中、これまでの日々を振り返ってみたいと思います。
北海道の地で、子供達に合気道を通じて、日本の礼儀や挨拶、姿勢を指導する場を頂いていた頃、数々の技も織り込んでいけたら一層楽しくなると思い始めた矢先に、一つの映像作品に出会いました。
“AIKIDO IS LIFE” 無限塾研修生の紹介映像でした。
映像制作にも興味のあった私は、多角的に繰り返しこの作品を観ていました。そのうちに、私が求めていたものはこれだと思うようになり、京都にたどり着くまでの様々な行動を起こして行きます。
家族を連れての、北海道から京都へ1,200キロの大移動。
2014年4月1日、本格的に第1ステージの基礎作りが始まりました。今思えば、この時期が体力的に一番過酷だったのかもしれません。2週間程で私の膝は動かなくなり、杖をついて道場に通いました。すぐに治るような痛さではありませんでしたので、再開の目処も立たず、見取り稽古の日々が続きます。しかし、これも意味ある通過儀礼ととらえ、客観的に稽古を観させて頂く良い機会となりました。その後ゴールデンウィークの休暇と合わせて、体調は快復し、稽古再開に至ります。徹底した足腰の鍛錬と、怪我の功名で、『力を抜くべきところ』を掴んだように思います。
夏休みまでの第2ステージは、京都の夏との闘いです。稽古にも「はじめ稽古」が加わり、体の水分を全て道着が吸い込む。したたる汗で滑る畳。この時期は、いかにその日を乗り越えるか。翌日の事はあまり考えられなかったように思います。そして今度は、腰の痛みでした。膝の時と同様に稽古に参加する事はできないばかりか、立ち上がる事すらできず自宅での静養となりました。これもタイミングよく、夏休みと併用して、快復し、次のステージへと進みます。冬の厳しさを教えてくれた北海道とは反対に、夏の猛暑を教わった京都でした。
第3ステージは、黒帯取得までの修行です。第2までのテクニカルな技とはひと味違い、より合気的な技が多く、一層興味深くもあり、難しくもなりました。同時に東京での総合演武も控え、黒帯審査と合わせ二つのプレッシャーがかかってきます。良い意味で、まともに対峙しても身が持たず、それらの抑圧の中でいかに身体を緩ませる事ができるかが、私の課題でもありました。しかしそれは結果的に、合気道の重要な部分を体感する良い機会となったのです。『抑えと解放』を父から学んだ私は、それを実践する場を与えられ、大変な中にも大きな喜びを得ていました。また、「合気即生活」にもあるように、職場や家庭でも日々の暮らしの中に稽古を取り入れ、色々と試し、感じ、沢山の発見があったことに感謝します。それらで得た事を、今月末の最終審査で発揮し、また、今後の生きる過程で自身の軸とし、多くの人に伝え、『合気』という次世代の概念が世界中に広がって行くお手伝いができればと思っています。